Moments
2019/10/03
bashiryです。
春から始まったMoments ツアーも、間をあけていよいよ終盤戦。
10/13の東京品川インターシティホールで、ツアーファイナル。
僕らとしては今回のファイナルは着席でゆったり聴くことと同時に、
バンド史最大規模ワンマンというチャレンジに、真っ向から挑んだ念願の初ホール公演な訳ですが。
皆さまの温かい声援も相まって、いよいよチケットも残り僅かなのです。
有難う御座います!
(縁あってファイナル後に11月には宮城・青森・長野と追加公演をやらせて頂けて、いよいよフィナーレとなります)
ボヘの音楽は、世間的にもなかなかニッチなポジションにいるけど。
自分達が心底好きなこの僕ら自身の音楽を、自分たちのペースでやるという。
結成当初からのこのスタンスできてるのは、本当にこの沢山の方が関与してくれる
ボヘチームやPlaywrightのお陰。僕は超絶幸せなのです。
10/13品川ファイナルに向けて、メンバー各位がブログ文面を丁寧に一つ一つ書いていく中。
僕も伝えたいメッセージが沢山あり過ぎて、筆が進まなかったのですが
まず一つ昇華しようと思いここに至ります。
(そして先にごめんなさい。予め記しておくと、この文は長いです。)
ボヘ過去作の内2枚には、中に少しだけという形でやっていた「一言ライナーノーツ」、
今回はいろんな意向もあって盤内に書きませんでした。
音で伝えたい事って、沢山あると思う。
感情、色、味、温度、景色、匂い、時間、思い出、物語、メッセージ等。
インストには歌詞がない分、曲の説明は物語の押売りなってしまわないかな、
と思うことはすごくある。
自己満足な世界かもしれないけど、作った本人と、曲にしたその好きな何かの間には
少なからずストーリーがある。
スナップショットを撮るかの様に、忘れないでいたくて曲を書いたりもするから。
少しくらいは文字にして伝えるのも良いのかしら?と私は思います。
ライブのMCの時に、ふと思い出して貰えたら。
今回はメンバーも大切に演奏してくれている、Momentsというアルバムの
タイトルにもしてもらった「The Moments」という曲ができた背景について
少し描かせてください。
この曲を作ろうと思っていた2017年の8月頃に、
当時僕は1週間ほど思い立って福岡にいました。
そこに居た理由は2つ。
一つは、当時福岡県であった豪雨災害のボランテイアチームに縁あって参加していた為。
参加した理由は沢山あるけど、正直いえば、個人的に演奏活動を一時ストップしていた時期で、
たまたまタイミングが合ったのが一つと。
自然災害が沢山起こってるこの時代に、この経験が大切な人達を守るのに必要だろうと信じてたのが一つ。
「ライフラインがなくなる」ということが如何に凄まじい状況なのか。思いは当時書いたのでここまでで割愛しますね。
https://www.instagram.com/p/BYswNqhFcU8/?igshid=1q7w0i7lup8eg
そして、もう一つは闘病していたある友人に会いに行くため。
10年来の友人の彼ら夫婦が、東京から福岡に越したのはずいぶん前。
僕は元々その奥さんの友人だったのだけど、音楽の趣味も合い、気づけば夫婦でライブに遊びにも来てくれてて。
ちょうど、MASSAN×BASHIRYのライブで福岡に行ったときに、ふとしたタイミングで彼が病気で入院している話を聞いた。
なかなか伺えなかったけどこの8月に福岡に伺えるタイミングで会いたいなと思って、連絡をとってた。
福岡に行った当時、彼の容体はかなり回復してて、私は少し(というか大いに)安心していました。
実は「彼ら夫婦のために曲を書いて、出来たタイミングでサプライズ聞かせてあげたい!」みたいな
ポヤンとした思いがあった。
当時まだ計画もなかったけど、Aromaticの次のオリジナルアルバムで入れれるような曲にしたいなと。
「あの曲をツアーで聴きたいな」とか「またライブに夫婦で遊びに行く予定を立てようよ」とか、
かなり身勝手な気持ちで。楽しみを作ってあげたかったのよね。笑
その時はまだぼんやりと、断片的なメロディが浮かんでいただけでした。
善し悪しは人それぞれあるけど、僕が曲を作るときは、結構な頻度でタイトルが先に決まってる。
今回は「The Moments」だった。
その断片的なメロディに込めたメッセージは、
「楽しい未来を!一つ一つ時間がきっと大切になって行くよ。楽しみにしててね」。
福岡県糸島市の芥屋海岸出身で、本当に音楽大好きな彼ら夫婦なので、
その何年も前から芥屋海岸専用の旅行雑誌なんかを、
「いつか行けたらいいね」て、僕にプレゼントしてくれて居て。笑
当時8月末に福岡行くからと、丁度のタイミングでまさに芥屋海岸で開催されている
「Sunset Live 2017に3人で行こうよ!」って話をして居た。
彼らも元々行く予定で正に準備をして居たところでの連絡だったし、
それを楽しみに3人で行く予定組めたら最高じゃん!て、思っていた。
僕もボランティアの日を一日だけサボらせてもらう約束をして、楽しみにしてチケットを取ってもらった。
迎えたライブ当日、実は彼の容体があまり芳しくなくて。
それまではすごく調子も良かったみたいなんだけど、前週当たりでお医者さんの判断で
外出が難しくなり、当日僕らは朝病院へ彼に会いに行った。
静かな病棟。
滅菌された空間、というのは初めての場所だったし、ちょっと緊張もしていたけど。
部屋を空けて「オッス!」って言って会えば、「やあ!」と元気そうな彼が。
その日に色々楽しみにして居たその日ライブのラインナップことや、なんだこれなんだあれ話してくれて。
それでも、少しだけ痩せていたらしく、この時期の彼は結婚指輪がブカブカだから中指にしていたのよね、
ってのは後から聞いた話だった。
病室に持ち込んでる私物の話とかなんとか色々ゆっくり話しながら。
「是非みんな楽しみにしてんだから、糸島行って来て!」と言ってくれたので。
その日の午後から奥さんを連れ立って、車で糸島に向かった。
途中、彼の芥屋海岸の実家に寄り道して挨拶したりしつつ。
到着した会場では友人とも合流したり、会いたかった人にも沢山会えた。
初めて参戦したこのライブは、穏やかな綺麗な海と、決して急がない時間と音楽。
ああ、なんて素敵な場所なんだろうという感じだった。
来年か、またのチャンスにはこの海辺の音楽景色を一緒に見たいね!と。
帰り道にも、彼にもあのライブが良かったとかみんなで連絡したり。
車中では、彼の描いてと夢の話を奥さんから聞いたり。
天神駅まで送ってもらい、とても幸せな気持ちで最終のバスに乗り、
ボランテイアのベースキャンプがある朝倉市杷木に帰った。
この杷木の町に戻れば、災害前のいつも通りを取り戻そうと頑張ってる地元の方々。
人間なのでもっとこう生活したい、あの人にもっとこんな風にして欲しい、とか色々ある。
「いつも通りの毎日」を続けていくことは、無意識にいるけど実は凄く大変で、大変が伴うからの喜びもあって。
それでも、そんな事にはなかなか毎日は気づけなくて。
なんか思えば色々な想いが胸に錯綜した1日だったな。
それから、半年くらい経ったころだったかな、
彼の訃報を聞いたのは。
東京に帰って今作アルバムの曲作りをワーっと始めた頃くらいのことだった気がしてる。
The Momentsのアレンジが気に入らなくて、何度も何度も書いては直して、
一回ほったらかしたまた書いては直してを繰り返して。
その本当に直前にバージョン7くらいで、これなら聞かせてあげたい!と、
思ったデモができたタイミングでのまさかのことで。
すごく。ものすごくショックだった。
そうは言っても冷静になり、連絡をくれた友人でもある奥さんとメッセージを読みながら。
彼女はてとても毅然として、冷静で、力強くて、信じていて。
その当時8月の福岡以降の経過は、僕自身は元気になってると思いこんでいたから、楽観視していただけかもしれないけど。
闘病中もいつも、お互いにずっと支えながら色々な大切な時間の一つ一つを、
彼と彼女は過ごしたんだろうなと、思いながら。
僕は一人移動中の電車の中で泣いた。
「楽しい未来を!一つ一つ時間がきっと大切になって行くよ。楽しみにしててね」
なんだかこのメッセージを急に自分に帰って来てしまった感じがした。
Momentsというのは瞬間とか時間という意味にして付けた。
時間というのは儚くも過ぎてゆくものでもあり、いつまでも残しておきたいスナップショットであって。
どれも大切な時間だよと、改めて思う。
だから改めて今回のこの曲。
アルバム全体にイオリ君が贈り物というサブイメージを付けてくれていたけど。
改めて録音してアルバムに収録するのに、未来に向かって明るく光る場所を指したい。
というイメージでハーモニーを再構築して組んでいったのをよく覚えてる。
本人にはサプライズ!には出来なかったけど。
彼にはきっと届いて曲を聴いてくれてると思うし、いまでもライブ楽しみにしていてくれてると思う。
自分の作る音楽が、ちょっとでも誰かの幸せの一部になるなら、僕自身はいつまでも音楽を続けていきたいと思ってる。
ライブでは毎回ここまでお話できないから、文章にしたくて長くなってしまったけど。
誰かすぐ近くにいる大切な貴方の顔を思い描きながら。
言葉にならない「いつもありがとうね」って気持ちを持って聞いてくれたらすごく嬉しい。
僕個人の話を長々とすいませんでした。
思い出話は一つの通過点というか。
歌詞のないインストだからこそタイトルから連想したり、曲も聞いたままに、皆が自由に味わえばいいと思います。
だからこそ(作る側にはこういう思いもあったんだな。)程度に、後からコレを見返して思ってもらえたら。
今回10/13品川ファイナルでは管楽器も入れた編成です。
アルバムを録音した当時の気持ちをプレイしたい、という思いと一緒に。
この日しかない「今まで誰も味わったことのないbohemiavoodoo」を体験する日になろうと思っています。
そして、ライブまでに(出来ればより良い音響環境で)もう一回Momentsや過去のアルバムを通して聞いて見てください。
すごく細かい所まで、メンバーが音だけでリリカルに表現しようとしてるのが見えてくるはず。
それを見つけるのも、またとても面白いと思うよ。
そして「いつ通り」が如く。どんなにゆっくりでも、いいから永くこのバンドの音楽を続けていきたいと思ってます。
このツアーを経てまた、緩やかに成長した僕らをどうぞ見に来てください。
※朝倉市の杷木に居たときに見た、大好きな筑後川の夕日。
彼らとの思い出の写真達は貰っていたけど、やっぱり僕らの中に仕舞っておきました。